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入居のしおり
おうきょうあん
鶯梟庵(Just Today House)にようこそ
怪しいアパート名と怪しい外観、さらにはやや高めの家賃にもめげずに入居して頂き、ありがとうございました。大家としてはこの庵の良さを少しでも知って頂き、楽しんでもらいたいと願ってこの小冊子を作りました。
この住戸は隠れ家というメインコンセプトの基で1級建築士事務所有限会社アーキヴィジョン様に設計してもらいました。二艘の住居の個性は、太陽と月、マツダロードスターとホンダシビックのように相反しています。しかし、いつしか互いの住戸の良さを認めるようになり、ついには癒しあい、融合していくことを目標にしています。最初「梟の城」に住んだ方、逆に「鶯の谷」に住んだ方、どちらの方も住んでみたら、相手側の住戸にも住んでみたいと思ってもらえれば、嬉しい限りです。
この二戸の隣接した長屋は、利用する空間に始まり、住居からの視界に至るまで完全に分離された作りになっています。深い思索をしたいときには、互いにプライバシーが守られる構造になっていますので、隣人の気配を気にすることなくじっくりと青春できるはずです。
戦争の世紀といわれた20世紀から新世紀にまたいでも、人類の紛争は終わりを知りません。自らが拠って立つ水準点を照らし出し、今後の進路を熟慮する場を提供したいと粗末な庵はそっと佇んでいます。
名前の由来
鶯梟庵(おうきょうあん);二つの住戸が陽光と月光のように異なることから、夜活動する「梟(ふくろう)」と昼活動する「鶯(うぐいす)」の名前をとり名付けました。正面から向かって右側の住戸Aは月光をイメージしていますので「梟の城」、左側の住戸Bは太陽をイメージしていますので「鶯の谷」としました。
Just Today House;鶯梟を読むと、オウキョウ→おお、今日→Just
Today、となります。人は生まれて、生きて、そして死ぬだけですが、生きているのは今だけということから、とりました。
建設の経緯
生活するのに便利とは言い難い立地条件ですので、魅力ある住戸の設計を建築家に依頼しました。建築家からの意匠や意図を大事にして建設しました。一番最初の打ち合わせで、建築家に私を楽しませてくださいと頼んだのですが、その通り、最初から最後まで面白く楽しみました。始祖鳥をイメージしたという最初のデッサンを下に示します。出来上がった庵の屋根にはちゃんと尾羽が二つ付いています。

A「梟の城」は家族で住む機能性ではやや見劣りしますが、広大な本棚と吹き抜けの空間があり、楽器や音楽を楽しむには最適な空間を提供します。ゆったりとした時間を楽しんでください。
B「鶯の谷」は遊び倒す余裕ではやや欠けますが、広い台所と台所収納や木製洗面器を中心に据えた洗面室と、家族でも十分に楽しめる空間を提供します。機能性の高い住居を楽しんで下さい。
依頼するときにあまりコストのことを言わなかったために、当初想定していたより建設費が嵩んだ事が唯一建設する上で辛いところでした。遊んだ報いはすぐ跳ね返ります。でも、まあ、面白い家になったからまあいっか。とはいえ、イカにもタコにも大変な道楽でございました。どうか、大事に使ってやってください。
各住戸には建築家の隠した意図やからくりが随所に織り込まれています、探検しながら住んでください。ちなみに私が一番気に入っている場所は「梟の城」では屋上ペントハウス、「鶯の谷」では小屋裏の忍者部屋です。あなたが心休まる場所がきっとどこかに見つかると思います。見つからないときは建築家に文句を言ってください。
設計した小堺氏はこの住居の特徴を『ビッチェズブリューの似合う風変わりな長屋』と言っておられます。マイルス・デイビスのCDを付録につけておりますので聴いてみてください。なお年がら年中聴ける音楽では決してないのでご無理はなさらぬよう。
建築家から
Archivision 小堺文彦氏
われわれは、これから、どこへ向かっていくのか、
そして人間とは、そもそも何なのか、……
を考えさせてくれる、いや、考えざるを得ない大いなるデザイン、
シンプルにして華麗、飛翔的であって冷静沈着、
エロスを彷徨しつつも男性的、アフロディーテ*が微笑むかと思えば、
ディオニソス**が喚起の声をあげる、
まさに今、矢は放たれた、始祖鳥は飛ぶ、
自由へと向かう、大いなる飛翔である。
今だかって見たこともない自由の世界へ。
始祖鳥は飛ぶ。善悪の彼岸を越えて。
森と岩清水のある故郷へと向かい旅立っていく。
*ギリシア神話の美・恋愛・豊穣の神
**ギリシア神話の酒神.バッカス
眼前に凛とただずむ怪しき姿態、・・・・・鋼の衣を纏った宇宙の生命体。
クライアント、松中孝子はパンドラの函を開けてしまった。
建築家の全霊から生まれたモンスターは、創造主の手を離れ、宇宙の意思を授かった。
何人たりともこいつの前では無力だ。
戦う者のみが、対峙し、共存し得る。
戦いは美であり、スタイルだ。そこには高度なモラルが存在する。
血を流し、傷つき、喘ぐ姿こそ、芸術の対価に相応しい。
工務店から
那須建設店 那須勉氏
楽しく施工させて頂き感謝致します。施工上むつかしい箇所は有りましたが、建築家に忠実に施工する様努力致し良い建物が出来たと思います。特にA棟吹抜け部分の内部バルコニーと本棚は楽しい空間になるのではないでしょうか。(忍者部屋も)
使用上の注意
・お気づきになっていると思いますが、この住戸は一般的なアパートとは比べものにならないほど高性能です。一般家庭の一軒家住戸と同等かそれ以上の気密性や断熱性があります。床のマツ材によるフローリングや窓のペアガラス等良い材料でできています。また、丸や三角の窓がついている個性的な外観を持っています。内部もデザインが優先された美しい空間で構成されています。その良さがいつまでも保持できるように、十分な配慮の上に住んで頂くことを希望致します。
・窓の開閉が特殊な窓があります。開け方の説明を良く読んで開けてください。オーイングと呼ばれる窓は回転式の取っ手を十分に開いて回さないと、窓の縁にあたります。
その他、住宅設備の使用にあたっては、このしおりが入っているファイルの取扱説明書を良く読んで使ってください。誤った使用法による諸施設の故障を修理する際は、入居者の負担となります。
・浴室の金属製蛇口は、水がかかったままにしますと、水垢がついて取れなくなります。使用後はご面倒ですが、タオルで拭いてください。
・壁や天井への釘打ちやフック設置などは一切禁止します。フックなどが必要だと感じられたら、気軽に柳井不動産あるいは大家にご相談下さい。大家が必要と判断すれば大家の負担で設置します。無断で設置された釘などは退去の際に現状復帰になります。その際に、著しく美観を損ねる場合はクロスの張り替えや、板張りの張り替えを行い、その費用を入居者に負担して頂くことになります。
・喫煙は壁紙の変色やにおいの原因になりますので、なるべくご遠慮下さい。経年変化以上の変色等が認められる場合は、クロスの張り替えをさせて頂きます。その際は相当の費用を退去時に負担して頂くことになります。
また、特注の屋久杉製照明器具の和紙はたばこの煙で簡単に黄ばんでしまいます。なるべくならバルコニーでの喫煙をお勧めします。黄ばんでしまった際は退去の際に和紙の張り替えを負担して頂くことになります。どちらの住戸にも2個ずつ設置した木製照明は、福岡県大川市に住む大家の叔父志岐常行が製作したものです。
・一階床は構造材が補強してありますので、「鶯の谷」の台所部分以外のほぼどこの場所でもピアノを置くことができます。グランドピアノについても多少の注意を払っていただければ設置可能です。設置の際は柳井不動産あるいは大家にご相談下さい。
・TV受信については地上波有線ケーブル、BSデジタル、CSデジタルアンテナを設置しています。CS放送を視聴したい方は、ご加入頂ければ見られるはずです。受信状態が悪ければ、大家の方で修理致しますのでお知らせ下さい。また、ケーブルの途中でブースターをかませていますが、その電源は「梟の城」から引っ張っていますのでご理解下さい。
・住戸間の隔壁は二重の石膏ボードを両面から張り、遮音のための防音材がたくさん入っています。また窓もペアガラスが入っており、互いの生活雑音等が気にならないように建築してありますが、深夜や早朝の騒音には注意してください。
・窓ガラスにフィルムやポスターを貼ると温度差から割れてしまうことがありますので貼らないようにしてください。居住者の不注意でガラスが破損したさいは修理費用を負担して頂くことになります。
・「鶯梟庵」正面とエントランスモニュメントの照明は「梟の城」住戸側にスイッチがあり、電気料金は「梟の城」住人の負担になります。「梟の城」入居者の方は防犯上からセンサーでの照明は必ず点けておいてください。
・「梟の城」の吹き抜けのお風呂場はカビ防止のため、入居中は24時間換気扇が回るようになっています。電気料金は月に数百円程度ですのでご理解をお願いします。
・「梟の城」のバルコニーから屋上ペントハウスへの移動ができるように梯子がついています。これは建築家の趣味により設置したものですから、「小堺ハシゴ」と呼んでいただき、困ったもんだと呆れてください。なお、その利用は住人の自己責任の元にお願いします。ご利用によって起きた事故などの補償や責任は大家はいたしませんのでご理解下さい。その他小屋裏や吹き抜けなどの利用についても同様です。ついでながら、小堺ハシゴを上ると出てくる手すりは当初パイプ製と聞いていたのですが、いつの間にか平らな手すりになっていました。どうしたのと那須社長に聞くと、屋上で飲み物を飲むときにテーブルになるから、平面にしたとのこと。どいつもこいつも好き放題いじりやがって!ということで、「那須手すり」と呼んで感謝しながら、缶ビールを置いてください。
・花壇、果樹の水やりのために柳井不動産あるいは大家が外部水道を利用することを認めてください。また、害虫駆除のために入居者に連絡の上、農薬の散布を行うこともありますので、ご容認お願いします。
・裏側ののり面などに植えた果樹の果実は住人、柳井不動産と大家で仲良く分けることにしましょう。剪定作業などで花壇や裏側に業者等が入ることがありますので、認めてください。入る前にはお知らせをするようにします。
転居の際には
・片方の住人が退去する際には、もう片方の方が希望すれば空いた方の住戸に引っ越すことが可能です。その際は、新しい契約になり新しく不動産手数料、火災保険等を払って頂き、それまで住んでいた住戸のクリーニング、修復等を負担していただくことになります。それでもよろしいのであれば優先的に住んでいただけます。また、友人で入居したい人を推薦していただけるならば、空いた住戸に入居していただくことが可能です。そうならなくても、新しいお隣様と円滑な関係で生活して頂くことを希望します。大家としても新しい住人選びには既に住んでいる方の意向を大切にしたいと思っています。といっても、綺麗なあるいはかっこいい異性の住人でなくてはだめ等という過大な意向はくみ取れませんので了解下さい。
・ロールスクリーン、照明器具など大家の方で設置したものは、全て入居時と同じ可動状態にして退去して頂きます。入居者の使用によって途中で切れた電球、蛍光灯等は入居者の負担による交換となります。入居してすぐに、ポロポロとたてつづけに切れても、己の宿命と悟り交換をお願いします。なお給湯器など経年使用による故障、損壊は大家が負担致します。とはいえ、諸設備は大切にきれいに使ってくださることを切に希望致します。
※2002年4月現在、満室です。ウェイティングタイムは、約1年半です。ご入居及び見学を希望される方は、アーキヴィジョンまでお問い合わせ下さい。 |