近隣が抱くルサンチマン

独創的フォルム。躍動感溢れる素材感。精微なディテール。その大いなる建築に対して、しばしば近隣住民はルサンチマンを抱く。いや、しばしばと言うより、しょっちゅう抱いている。

 

  ルサンチマンを克服した建築  その1

場所は千葉市。

1992年完成の木造3階建て専用住宅。

屋根があがった頃、北側住民A氏がルサンチマンを抱く。

A氏

「うちは2階建てなので、お宅も2階建てに直して欲しい。」

施主

「大家族なので、それは出来ません。千葉市建築条例にも適合しているので、このまま建築します。」

アーキヴィジョン

「A氏の住宅は、建築基準法42条第2項違反なので、それが解決されるまでは、このまま工事を続行します。」

 

その後、A氏からは何の連絡もなく、ついに竣工。大家族を包み込む、しゃれた木造3階建て住宅で、快適な日々を送られているとのこと。

 

指導:まず、己の襟を正せ。

 

  ルサンチマンを克服した建築  その2

 

こちらも木造3階建て。

柏市に1991年に完成した2世帯住宅である。

屋根下地工事をしている頃、北東側住民B氏がルサンチマンを抱く。

B氏

「日陰になるので、屋根を一部カットしろ!」

施主

「屋根をカットしたら、せっかく3階に作った2つの子供部屋が1つになってしまうので、それは出来ません。」

3階建て条例、日影規制共に適合しているので、そのまま完成。たいして日影にもならず、その卓越した住宅デザインに対して、ルサンチマンを抱かれた好例。

 

教訓:とは言っても、3階建ての時は近隣に注意しましょう。

 

        ルサンチマンを克服した建築  その3

 

工務店の隣に建築した輸入住宅に対して、その工務店の社長がルサンチマンを抱く。

工務店社長

「ほこりが飛んできて、洗濯物が汚れるので、何とかしろ。」

施主

「お宅こそ、庭に木材を撒き散らかしていて、そこから白アリがうようよ。そっちこそ何とかして下さいよ。」

見た感じ、いかにも仕事のなさそうな工務店のおやじで、酒に明け暮れて、その日暮らしをしているようだ。そのような人物は、奴隷道徳といった厚く、重たい雲に覆われていて、これからも仕事はないだろう。

 

難題:大気中にほこりの飛んでいない状態とはありうるだろうか。

 

        ルサンチマンを克服した建築  その4

 

場所は越谷市。木造2階建て60坪の壮大な住宅に対して、北側住民C氏がルサンチマンを抱く。

この住宅は、前面道路が計画道路になっていて、あらかじめ敷地全体を60cm盛土して計画された。(道路も60cm位上がる予定である。)

C氏

「陽が当たらなくなるので、基礎をなるべく低くして下さい。」

施主

「他人の家の品質に関して、すっとぼけたこと言うな。かま わぬから図面通り工事してくれ。」

C氏の家は、南側に家が建つことを、まったく想定していない住宅で、建主も無知だが、建築する方はもっと悪い。

ちなみにC氏の家の基礎は、30cmにも満たない。

 

格言:空間計画をあまくみてはいけない。

 

        ルサンチマンを克服した建築  その5

 

つくば市に建築した、木造2階建て住宅の浴室の前に、杉板で囲った坪庭を作成。

ネオジャパネスク風のしゃれた坪庭を見て、北西側住民D氏がルサンチマンを抱く。

D氏

「囲ってある板で風通しが悪くなるので、その板をとってくれ。」

この男は、毎夜、毎夜、タダでのぞき見をしようと企んでいるのか。

 

支払:のぞき見は高くつく。

 

 

かつて、このような広告があった。

「他人から羨ましがられても、他人のホイールが羨ましくない。」

アルミホイールのBBS社のコピーである。

ルサンチマンを抱くような家づくりだけはしたくないものですね。