虹のかけ橋 

2004年のオーラスを飾る作品。
南北両面道路の敷地で、南側は高低差約3Mのガケになっている。したがって、北側道路からのアプローチとして計画することになるが、こちらも道路から低いところで30cm、高いところで90cm、敷地が道路より高くなっている。へたに造成すると、かなりのコストアップが予想される為、傾斜のついた北側 前面道路をそのまま生かした平面及び断面設計を練るところからスタートした。

 

初期計画案 1

 

初期計画案 2

 

初期計画案 3

 

初期計画案1から3を経て、2003年9月にまとめた案が下のプレゼンテーションである。

2003年9月案

 

しかし、この案だと、道路との関係がどうもしっくりしない。
アプローチ部分の大きな外部吹抜けは確かに魅力的だが、ビルトインガレージの上をもっとうまく活用できないものかと考えたのが下の修正案(2003年10月)である。

2003年10月案

 

10月案は、ほぼ最終案に近いが、断面計画上の大きな違いはガレージの上に中2階の子供室(将来2つに仕切れる計画)を設けたことである。北側に子供部屋?と不思議に思われるかもしれないが、真夏の暑い中、日差しの強い南側 の部屋でクーラーをガンガンかけながら勉強・・・というのもどうかと思い、床暖房の完備した冬暖かく、夏涼しい北側に配置した。直射日光をまともに受けない北側のスカイライトも夏には風の通り道になり、なかなかよいものである。
この中2階と1階、2階を結ぶ階段室に掛けた橋が虹のかけ橋である。

それにしても、今年は国内でそして世界でたて続けに天災が起こった年であった。今年は方位吉凶図によれば五黄の年ということになるが、五黄とは破壊を意味するそうである。まさにそのとおりになったわけだ。
東京易占学校の吉岡校長先生が、新潟中越地震の後、「あともう一発来そうだ」と言っていた。ひと月後、今回のスマトラ沖地震である。いなやことは信じたくないが、「的中」したわけである。そう言えば、記憶に新しい「阪神・淡路」も五黄の年であった。自然災害だけは防ぎようが無いが、できることなら「虹のかけ橋」を上を向いて歩いて行きたいものである。

☆ N邸を振り返って ☆
 

 『プライバシ−を守りつつも、2世帯で仲良く暮らせる住まいを建てたい』当初のオ−ナ−の希望に加え、素晴らしい眺望と高低差を生かしたプランニングを練るところからスタ−トした。密集した住宅地での設計依頼が多い中でこれだけロケ−ションの良い目立つ敷地はめったにない。1階外壁には緑の多い環境に溶け込む、落ち着いた緑を、2階は空に向かってまっすぐに伸びていくシルバ−色のガルバリュ−ム。片流れの大屋根もオ−ナ−の希望を生かしたデザインにまとめている。

 プランニングでは、2台分のビルトインガレージを設け、その上を皆で使える書斎コ−ナ−、子供室、サブリビング、2世帯共用スペース、と多目的に使い方を変えることのできる中2階を提案し、土井の製作する模型によってイメ−ジを立体化することによりこの案の採用が決まる。

 ビルトインガレージからは雨に濡れることなく玄関へと繋がる明るいビルトインアプローチが続く。専用のサイクルポ−トも兼ね備えた使い勝手の良いスペ−スである。
 子世帯には、和室からホ−ルへの飾り窓と、キッチンからホ−ルへの飾り窓を設けて、いつも子供の気配が感じ取れるように配慮する。家族の絆がより深まることを思いつつも、そのためには、程良い距離感を感じられる事が必要であるとの考えに基づいてゾ−ニングをして行く。そうして出来上がって行くこの家に更に彩を添え楽しさを演出するために、工事中に2階ホ−ルの手すりなどを虹の色に決めてゆく。家族の団欒が想像できるようなおおらかな空間になった。
 一方で親世帯は落ち着きのある配色を心がけた寛ぎの空間となるように提案をする。
外構も含めたト−タルプランニングによって、非常にバランスの取れた建物に仕上がったと思う。また、建物を支える地盤の強度は最も重要である。高低差のある立地条件であること及び支持層が、設計GL‐6.5m付近にあることを考慮して、鋼管杭による基礎補強を採用した。傾斜地での設計手法としてはソイルセメントでは不適当であるためである。
 さまざまな条件を1つ1つクリア−してゆくことで、オ−ナ−に満足いただける建物に仕上がったと思っている。
 今回は、プランニングする際に、住む人それぞれのニ−ズを大事にすることが基本であり、そのためには立地条件や周辺環境などにも配慮してその特性を生かしてゆくことがとても大切であるということを再認識する現場であったと思う。


2005.3月  TOSHIYUKI YAMANISHI

 

(2004年12月竣工 設計期間 10ヶ月)
  延床面積:198.87u  
  DESIGN:FUMIHIKO KOZAKAI & ASSOCIATES