伝統との対話・格子の美学 

日本人の体質の奥深くに眠っているもの、そして時々、ほのかに、優雅に漂ってくるものとして「色気」と「陰翳」がある。座敷と縁側の境に設けられる障子は、光をいったんそこでやわらげ、適度な暗さを和室にもたらす。
タテ、ヨコに流れる線で構成される格子の効果を見てみよう。
まず、格子、天井共杉のムク板で作られている和室は、西(この和室は、北西の角に設けられている。)から差し込む光を、こげ茶色で統一された枠、廻り縁、腰板の効果と共に、適度に吸収していることがわかる。
ここでは、障子による西日のシャットアウトはせず、和風スクリーンを設け、格子天井と腰板等の色彩によって、ほの暗さの演出を試みている。
一方、居間から2階への階段にデザインされた4ヶ所の格子(写真では3ヶ所しか見られないが)は、東の3つの丸窓から差し込む朝日に反射して、居間でのくつろぎを、より一層落ち着かせるものとしている。それは、壁にタテに貼られたヘムロック、そして天井のヘルシーボード(ホルマリンを含まないベニヤ)などの、木の風合いが醸し出す絶妙なバランスを、格子の存在で演出していることによる。

西洋化のアンチテーゼとして「陰翳礼讃(いんえいらいさん)谷崎潤一郎 中公文庫」などはいかがでしょうか。


 

和室

居間

居間

居間

     
      (2002年7月竣工 設計期間 8ヶ月)  
  延床面積:163.15u  
  DESIGN:FUMIHIKO KOZAKAI & ASSOCIATES