外断熱を考える

外断熱工法は、建物全体を外側から断熱保温するため、内断熱方式に比べて多くの長所を含んでいます。外断熱工法では柱や構造用合板などの構造体が断熱材の内側にあるため、構造体の温度は常に室内側の温度を保ちます。したがって、構造体自身が結露を発生する心配が少なく、しかも構造体が畜熱層として室内温度の安定に役立っていると考えられます。柱や梁もすっぽり外側から断熱材で包むことができるわけです。断熱材が途切れることもなく、柱と柱の間は室内側の空間となるので、コンセントなどの配線や、設備の配管も自由になり、断熱効果の妨げとなりません。

外断熱工法は屋根の断熱に関しても優れた効果があります。屋根のタル木の上に断熱材を敷きならべ、一体の断熱層をつくります。そして、この断熱材の上側に通気層を設けて屋根材を葺きます。屋根の棟には棟換気装置を取り付け通気層の空気を絶えず流動させるようにします。こうすることによって、真夏の直射日光の熱を屋根裏に伝えない構造ができるわけです。

外断熱工法を採用すると、屋根材や外壁材について断熱性を求める必要がなくなります。そこで屋根材や外壁材を自由に選べることになるのです。

たとえば、瓦屋根は瓦の形状が通気層の役割を果たすので、真夏の直射日光に対して理想的な断熱材と考えられていました。

ところが、外断熱工法では屋根の断熱は断熱材と通気層によって完全に断熱されているため、瓦より経済的なコロニアルやガルバリューム鋼板などの屋根材を選ぶことができるのです。

外壁材についても同様で、ALC板やサイディングといった断熱性能の高い外壁材をあえて使う必要はなくなります。経済性と耐久性を考えながら好みの外壁材を選択できるということになるわけです。