この「SGA」計画では、基礎工事に続き木工事も難易度の高い工事になります。ソフトにおいては、珪藻土や無垢のフローリングなど自然素材を使い、「ヒンズースタイル」を内部そして外部に表現するのですが、ハードにおいては、熟練の大工でも「ウーン」とうならせる場面がいたるところに現れてきます。ハードとはいわゆる技術的な問題解決のことです。建方工事に限って順を追ってみていきますと、まず第1番目に、半地下があります。ということは、1階から昇る階段と降りる階段が2つ出てくることになります。降りた半地下は壁が2階の床まで続く、天井高3.3メートルを超える音楽室と天井高1.3メートルの蔵の2室で構成されます。蔵の上は半円を描いたアーユルヴェータ・マッサージルームです。その上のバルコニーも同じ半円で仕上げます。半円を作る施工、これが第2番目です。
第3番目は、2階に浴室を持ってきている関係上、床ダウンの施工です。隣のパウダールームと床段差のないバリアフリーにするため、浴室部分の床は構造補強の上、2階の床から285ミリ下げています。金物でユニットバスを支持せず、すなわち、釘のせん断力に期待しないで、床面全体で支持する方法で施工することにしています。
第4番目は、第一種高度の北側斜線をクリアーするために、桁行き方向の間柱を外壁面から455ミリのところで、屋根なりに下げています。これをスタッドダウンといいます。
第5番目は4番目と同様、法的規制である道路斜線制限のクリアーです。切妻屋根のトップから妻方向2.73メートル、桁方向1.31メートルのところで、左右対称になるよう屋根をスパッとカットしています。模型製作の時は厚紙をカッターでスパッと簡単に切りましたが、ここではそう簡単にはいきません。
第6番目にロフト工事、第7番目に2階リビングの勾配天井工事があります。通常なら使いませんが、内部足場工事も必要です。そして最後にヒンズー曲線を外壁の一部に取り入れるなど盛りだくさんの内容になっています。一流料亭で、間合いを見ながら次々出された料理を全部頂いた感覚とはチョッと違います。
2007年12月17日
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