昨年秋から設計を進めている、「206(ツーバイシックス)南仏スタイルの家」が無事着工となりました。銀行融資の関係上、設計期間がスケッチを含め2ヶ月半しかなかったことがチョット厳しかったです。
この計画は、オーナーが直接当社に設計を依頼したものではありません。木造軸組工法を主に施工されている工務店からの依頼です。工務店といっても2,3人規模の小さいところではなく人口300万人から400万人ぐらいのエリアをカバーする、しっかりした仕事をすることで定評のある会社です。オーナーとの契約前に、担当者から一度打合せに同席してほしいとの連絡があり、オーナーを含めたヒアリングをしました。オーナーの住宅に対する情熱は非常に高く、加えて研究熱心で打合せはかなり盛り上がりました。僕との相性も良かったみたいで、(これは勝手な想像です)その後、無事契約になったわけです。オーナーはよく勉強されており、「高気密・高断熱」「耐震性」「耐久性」「快適性」「安全性」「外観デザイン」の全てを最高レヴェルにすることを希望されました。さらに「直輸入の無垢のドア、無垢のフローリング、内部、外部共フランス製塗り壁、湿式外壁通気工法、テラコッタ床の床暖房、輸入システムキッチン、アッシュスピンドル階段」の採用も付け加えられました。となると、軸組工法では「全然無理なんじゃないの、4寸柱なんてとても細くて壊れそう。気密もツーバイの方が断然取りやすい。」ということになり、主要な耐力壁を206のダブルスタッド(38×140の2本又は3本抱き合わせ)とし、構造材はダグラスファー(米松)を指定し(ダグラスファーの長期許容応力度はSPFの約1.2倍)枠組壁工法で建築することになりました。現在基礎工事中で、配筋検査に合格したところです。地盤も悪いところで鋼管杭を49本打設しています。3月完成を予定しています。少し急がなくてはなりません。
このプロジェクトは、工務店にとれば新たな工法へ取り組んだことにより、今後の展開が広がっていくことになりますし、オーナーにとっては理想の工法で建築でき、僕にとっては実績がまたひとつ増えることになるわけです。
この住宅は2階建てですが、構造計算をしています。計算の結果ホールダウン金物を一ランク下げてよいことになりましたが(HDN―15からHDN―10でオーケー)設計どおりとしています。費用が12万から20万位かかりますが、2階建てでも構造計算することをお奨めします。
2007年 睦月
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