● ● ● ● ● 川合玉堂 ● ● ● ● ●


近代日本画の巨匠「川合玉堂展」を見て久しぶりに心が洗われた。奥多摩にある玉堂美術館に行ったのが学生のときだから、30年ぶりにじっくり見ることができた。まるで自分がその風景の中に溶け込んでしまいそうな感じにさせてくれる。明治、大正、昭和を生きた玉堂だから戦前、戦後の作品になるが、争いごとのまったくない日本の田園風景や野山の情景が、一瞬時を忘れさせる。伊藤深水や鏑木清方の美人画もいいが、玉堂の風景画は格別である。
見入ってしまった作品は、山村に降り積もった雪景色を表現した、昭和5年の「山村積雪」2人の農婦と水車を春雨の中に描いた、昭和17年の「渓村春雨」そして昭和30年、亡くなる2年前に描いた僕の最も好きな作品の「夕月」です。

 

2007年  卯月