● ● ● ● ● SEVEN STEPS TO HEAVEN ● ● ● ● ●


「セブン ステップス トウ ヘブン」・・・日本語で「天国への7つの階段」と訳される、マイルス デイビスの1963年の作品は、全体的にバラード基調で、バックに流しておくと、緩やかに時間の過ぎ去るのを忘れてしまいそうな感じにさせる音楽だ。ミュートの効いた、泣けるようなマイルスのトランペットは、至高の世界へと導いてくれる。1959年の「カインド オブ ブルー」1961年の「サムデイ マイ プリンス」と一番違うところは、ジョン コルトレーンがセッションに参加していないところかな。コルトレーンが参加していないためか、「秀才的」な出来栄えになっているところが、少し残念だ。


マイルス デイビス 中期の作品

コルトレーンがセッションに参加している黄金の4部作


一方、1956年に録音されたマイルスの黄金の4部作「クッキン」「スティーミン」「ワーキン」「リラクシン」はコルトレーンの演奏に加えて、レッド ガーランドのねっとりとしたピアノタッチがたまらなく良い。

 

60段の階段を昇らなければ「その世界」へ到達できない「TJM」計画


さて、現在実施設計中の「TJM」計画は、7つどころではない60段の階段を昇った先に敷地がある。敷地に立てば、遥に眼下の渓流を見下ろす、バリ島ウブド渓谷に似た雰囲気があるが、必ずしも似ていないのは、そこに立つまで開発許可を受けたコンクリートの階段を昇らなければならないことだ。ウブドでは草木を掻き分け、足を滑らせながらそこに到達する。
オーナーから、「面白い土地が出たので進めよう」ということになり、現在、平面計画、ロフトから出られる3階バルコニー、シンプルな外観デザイン、手作りの玄関ドアなどが決定されている。

 

2007年  文月